企画展「水石/類推の山-大和田良写真展」
期間:令和8年10月24日(土)~11月29日(日)
場所:大宮盆栽美術館 企画展示室
水石/類推の山 Suiseki/Mount Analogue
写真家・大和田良による展覧会「水石/類推の山」を開催いたします。
2011年、さいたま市大宮盆栽美術館の写真作品展シリーズ第1 回の「盆栽×写真vol.1 大和田良写真展」で、大和田は同館所蔵の盆栽を撮影し〈FORM―SCENERY SEEN THROUGH BONSAI―〉を発表しました。盆栽の姿に雄大で厳かな風景を見いだしたその試みを経て、本展では水石へ眼差しを向けます。
水石の文化は、自然石の形や肌理のなかに山水、草庵、人影などを見いだす「見立て」の美学に支えられています。それは単なる縮景や外形の類似ではなく、観察と想像の往還によって、小さな物質から広大な空間をひらく営みです。長い時間に磨かれた石は、石であると同時に山となり、物語の舞台となります。大和田は、石に刻まれた微細な起伏や亀裂をたどり、自然風景と組み合わせることで、可視と不可視を結ぶ「類推」の働きを写真に探ります。
実景の稜線は石のエッジと重なり、石の亀裂からは巨大な断崖が立ち現れます。レンズを介して両者の輪郭が侵食し合うとき、スケールは揺らぎ、風景の起点は判別できなくなります。今回、大和田が思考の補助線としたのが、ルネ・ドーマルの未完の小説『類推の山』です。通常の知覚から隠され、特殊な条件でのみ到達できる神秘の山は、水石をめぐる見立ての構造と深く響き合います。
現実との接触と光の痕跡をとどめる写真は、石という物質と、そこから喚起されるイメージのあいだを往還します。本展は、世界を記録するための旅ではなく、私たちが世界をいかに経験するのかをたどる冒険でもあります。
大和田良は1978年仙台市生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科を卒業し、同大学院メディアアート専攻を修了。2005年、スイス・エリゼ美術館「reGeneration. 50 Photographers of Tomorrow」に選出され、2011年に日本写真協会賞新人賞を受賞しました。盆栽、ワイン、剥製、活字、植物など多様な対象の背景にある歴史や美意識をすくい上げ、写真の新たな表現を探究し続けています。石という静黙なる自然の断片が、見る者の想像力によって広大なランドスケープへと転じる瞬間。その「知覚の地形」を、ぜひ会場でご覧ください。
講演会 巖谷國士―『類推の山』を語る
講師:巖谷國士
仏文学者、美術批評家、写真家、明治学院大学名誉教授。
ルネ・ドーマル『類推の山』(河出文庫)翻訳者。
日時:11月1日(日)14:00~15:30(開場13:30)
会場:大宮盆栽美術館 2階 講座室
定員:40人
費用:無料
申込:10月13日(火)正午から、さいたま市生涯学習情報システム(https://gakushu.city.saitama.jp/)にて受付(先着順)。
※申込みには、事前に同システムへの利用登録が必要です。
利用登録ページ https://gakushu.city.saitama.jp/mypage/entry/MemberEntry.aspx
大和田良ギャラリートーク
日時:10月25日(日)、11月15日(日)各日13:30~
会場:企画展示室
※当日有効の観覧券をご用意の上、ロビーにお集まりください。事前申込みは不要です。
『類推の山』とは
ルネ・ドーマル(フランス、1908~1944)によるシュルレアリスム冒険小説。
世界の中心にそびえる不可視の山「類推の山」の至高点を目指す、8人の男女の精神と冒険の旅を描いた寓意的SF小説。
作者没後、未完のまま1952年初版。
日本語版(巖谷國士訳)は、白水社(1978年)及び河出文庫(1996年、2026年9月再版)より刊行。
チラシ
企画展「水石/類推の山-大和田良写真展」(約4.5MB)
展覧会図録
※準備中




